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プログラミング教育を通じて「子どもの居場所づくり」を  ―いわみプログラミング少年団の挑戦―

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「いわみプログラミング少年団」は、世界110カ国以上、日本にも230以上ある子どものためのプログラミング道場「CoderDojo」に所属するプログラミング教育の団体。島根県西部の石見地区の子どもたちに、主にScratchを使用したプログラミングを教えています。

代表理事の高田清秀さんは、元は企業に勤めるシステムエンジニアでしたが、なぜプログラミング教育に携わるようになったのでしょうか。プログラミング教育に関わり始めた経緯や、現在の活動内容などを伺いました。

きっかけは「プログラミングの遊び心」

設立したのは2016年。町内の自治会で下っ端の役員だった私は、集会のときに連れられてくる役員の子どもの相手をして遊んでいました。何をして遊ぼうかと考えたところ、自分のパソコンにJavaで「数字を変えるとキャラクターの動きが変わる」というプログラムが入っているのを思い出し、それをやらせてみることに。するとたちまち子どもが興味を持ち、会うたびに「教えて!」と言ってくるようになりました。

私は子どもの頃にテレビゲームを買ってもらえず、かわりに家にあったパソコンでゲームを自作していたのですが、その子も同じ境遇でした。似たような境遇の子どもたちを「楽しませてあげたい」「居場所を作ってあげたい」という想いが強まり、近所の子どもたちにも教えるようになりました。

やがて子どもたちに教える機会が増え、SEより教育の仕事がメインになっていき、自然と独立しました。その頃は、小学校でプログラミング教育が始まるという噂が立ち始めた時期。島根県だけでなく、近くの学校や公民館から講義の依頼が来るようになったという背景も後押しになりました。

そもそも子どもに最初にやらせたプログラムは、SE時代のシステム開発の合間に遊び心から作ったもの。この「遊び心を持つ」というスタンスがあったからこそ子どもの興味を引くことができ、やがては「教えることを楽しむこと」につながっていったと感じています。

幅広い年齢層の子どもの「やりたい」気持ちをサポート

子どもたちに教える場としては、「道場」と呼ばれるプログラミング教室を運営。今は月に1回、対面で浜田、大田、邑南の3会場とオンラインで開催しています。

入会者は、幼稚園の年長から高校生までの約80名。授業のように先生が一方的に教えるのではなく、子どもたちのやりたいことを先生が見守ってアドバイスするスタンスです。基本的には家で課題に取り組み、聞きたいことがあるときや見てもらいたいときに道場に参加するスタイルなので、参加者は各回3〜15名程度のアットホームな雰囲気です。

課題もこちらから与えるよりは自分たちで見つけてくることが大半。例えば「算数で正三角形を習ったから、パソコンで表現したい」「3Dアートを描いてみたい」など、身近なことから上手に課題を見つけてきます。ある小学5年生の子は突然「C#」を始めたので理由を聞いてみたら、「C#」という言葉を自分で見つけて興味を持ったとのこと。自ら調べ、環境を作って取り組んでいるので、私も勉強しなくちゃと思っています。

子どもたちの「居場所」を作りたい

「いわみプログラミング少年団」は、プログラミング道場で子どもたちの居場所づくりをすることを目標としています。基本的には自分の住む地域の道場に参加していますが、ときには他地域に遊びに行くことも。すると、自分と同じようなアイデアを持つ気の合う友達を見つけることもでき、学校区を越えた友達作りにもつながっているようです。

小学校でのプログラミング教育も、昨年はコロナであまり学校に行く機会はなかったのですが、今年は2学期以降に増えていく予定。また、邑南町での公営プログラミング塾は、対象者が小学生から高校生までだったところを大人まで拡大する予定など、プログラミング教育の場や機会の拡大が予想されます。

それに対し、講師やメンターなどの教える人間は、島根県内では数が足りていない状況。本業とWワークをしている方や子育て中の方もいます。講師やメンターに求めるのは、ITの知識や経験ではなく「子どもたちを褒める力」。性格も能力もさまざまな子どもたちが一生懸命作った作品を見て、話してくれたこと聞いて、そこからいいところを見つけて褒めてあげる力が必要になります。プログラミング教育を通じて地域や社会に貢献できるだけでなく、自身のスキルアップにもつながるので、興味のある方はぜひ一緒に島根を盛り上げましょう。

>>子育てしながら講師を務める、福永さんのインタビューはこちら

高田清秀さん
一般社団法人「いわみプログラミング少年団」代表理事。一般企業でのシステムエンジニアを経て、プログラミング教育を開始。島根県主催の夏休みRuby教室の講師を第1回から務めるなど、島根県のプログラミング教育に貢献。https://iwami-programming.org/

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