島根大学を卒業後、首都圏でキャリアを重ね、2024年に松江市へUターンした牧野正和さん。現在は株式会社パソナでエンジニアとしてWebアプリケーションの開発に携わっています。
「島根に恩返ししたい」という思いを胸に、働き方も暮らしも大きく変わった移住のストーリーをうかがいました。
エンジニアの道へ進んだきっかけと、最初の一歩
もともとエンジニア職に関心がありながらも、最初に選んだのは営業職でした。「大学時代に人と関わる活動が好きで、まずは社会人として“人と接する仕事”を経験してみたかったんです」
しかし営業として働くうちに、大学で少し学んだプログラミングの面白さを思い出し、エンジニアへ転向。「未経験への不安はありましたが、転職活動中に出会った会社で少しずつスキルを身につけられたことが大きかった」と振り返ります。
「動かしてみる」楽しさが原動力に
エンジニアとしては、金融・鉄道などのレガシーシステムの開発・改修からスタート。「COBOLやC言語など。新しい技術ではありませんが、そこにある論理や制約の中で動かす面白さに惹かれました」
現在はRuby on Rails、Vue、Nuxtなどを用いたWeb系開発に携わり、「新しい技術に触れられること」「フロント・バックエンド両方を経験できること」にやりがいを感じています。
今後はAWSなどインフラ領域にもチャレンジし、「技術的にもフルスタックを目指したい」と意欲的です。
仲間と学び合える職場環境
新しい技術に取り組む中で、「チームで学び合える風土」が大きな支えになっていると牧野さんは話します。
「最初はRuby on Railsを使う案件にアサインされたのですが、先輩と一緒に仕様を確認しながらペアプログラミングで進めていけたのが心強かったです」。
自身が書いたコードに対しても丁寧なレビューをもらえるなど、安心してチャレンジできる環境が整っています。
また、自ら「こんな技術をやってみたい」と声を上げやすく、それに応えてくれる柔軟さも魅力のひとつ。「やりたい気持ちを汲んで任せてもらえるのが嬉しいです」と語ります。
支え合える仲間がいることが、技術面でも心理的にも大きな後押しとなっているようです。
家族との暮らし、そして移住の決意
Uターンの背景には、家族の存在がありました。「結婚し、子どもが生まれたことで、“どこで子育てするか”が真剣なテーマになった」と牧野さん。
妻は栃木県出身。「首都圏を離れる不安は大きかった」と振り返りますが、松江の自然環境、治安、そして「人のあたたかさ」を丁寧に伝え、話し合いを重ねて移住を実現しました。
島根だからできる、のびのびとした子育て
松江での暮らしでは、子育てを通して多くの“発見”がありました。「町ですれ違う人が自然に子どもに声をかけてくれる。息子もいつの間にか自分から人に話しかけるようになりました」
こうした経験は、首都圏での生活ではあまり感じられなかったもので、「人とのあたたかいつながり」が育児の安心感につながっていると語ります。
また、親子そろって温泉好きという牧野さん一家。「最近は玉造温泉など、松江近郊の温泉地によく足を運んでいます。平日にふらっと行けるのも島根ならではですね」
“恩返し”としての島根でのキャリア
「いつか島根に恩返しをしたい」——この思いの原点は、大学時代の経験にあります。
松江で高校生向けの授業や入試イベントに携わり、「地域の人と関わることで、自分も多くをもらってきた」と実感。その経験から、社会人になった今も「学生向けイベントなど、地域に関われる機会には積極的に参加したい」と語ります。
島根で描く未来図
現在はマイホームを建てる計画も進行中。自然との距離感や周辺環境などへの配慮など、家族と相談しながら「島根だからこその暮らし方」を模索しています。
そして今後は、「息子に人との関わりを大切にしてほしい。誰かが困った時に手を差し伸べられる人に育ってほしい」と、日々の生活のなかで“人に愛される人”を育むことを意識しているそうです。
最後に、UIターンを考えている人へ
「都会での生活に疲れていたり、自分を見失いそうになっている方がいたら、一度島根を訪れてみてほしいです」
“自分の暮らしを取り戻す場所”としての島根。そこには、空気の澄んだ自然と、あたたかい人々、そして新たなキャリアの可能性が待っています。